「身体が硬いんです」
前屈で手が床に届かない。腕が上げにくい。首を向けると、右と左で感じが違う。そんなときに「硬い」という言葉を使うと、身体の状態を短く伝えられます。
そこから、もう少し詳しく見てみます。
動く範囲が小さいのか。重く感じるのか。途中で引っかかるのか。動かすことに不安があるのか。動き始めから気になるのか、ある位置まで来ると止めたくなるのか。
同じ「硬い」でも、感じていることは少しずつ違います。原因を考える前に、まずはそのうち一つを言葉にしてみましょう。
どこで、どんな感じがするのか
「硬いから伸ばそう」と決めてしまうと、どんなときに動かしにくいのかを見落とすことがあります。
たとえば腕を上げるとき、肩の周りが重く感じる日もあれば、足元が落ち着かず、全身に力が入る日もあります。上がる高さは同じでも、呼吸のしやすさや、安心して動かせる感じが違うこともあります。
ここでは、気づいたことからすぐに原因を決めず、「今日はこう感じる」と覚えておきます。よく分からなければ、そのまま「よく分からない」で大丈夫です。
片腕をゆっくり上げてみる
普段、問題なくできている動きを一つ選びます。ここでは、片腕をゆっくり上げる動きで試してみます。
立って行うか、座って行うかを決めたら、足裏や、身体が椅子に触れているところを感じます。姿勢をきれいに作ったり、深く呼吸しようとしたりせず、いつものままで始めます。
片腕を、無理のない範囲まで一度だけゆっくり上げて、戻します。どこまで高く上がるかを目指す必要はありません。動き始め、途中、戻すときに、感じ方が変わるところがあるかを見てみます。
「途中から重い」「このあたりで力を入れたくなる」「ここで止めたい」。そんな感じがあれば、覚えておきます。特に何も分からなくても構いません。無理なく戻せる範囲で行ってください。
強い痛み、急な体調変化、続けることへの不安がある場合は中止し、必要に応じて適切な専門家へ相談してください。

Photo: MART PRODUCTION / Pexels
感じたことを一行にする
あとで振り返るなら、「動作/感覚/条件」の順で一行残しておくと便利です。
右腕を上げる/肩の高さを越えるあたりで止めたくなる/仕事の後、椅子に座って確認
どの動きで、何を感じたのか。それがいつ、どんな姿勢だったのか。まずは、分かったことをそのまま書きます。「肩が悪い」「この筋肉が原因だ」といった解釈は、ここでは加えません。
点数をつけずに、そのときの動きと感覚を書き残しておくと、あとで振り返れます。翌日には違う感じがしたり、場所や姿勢によって変わったりすることもあります。その違いも残しておきます。

見た目や目印も、一緒に見てみる
重さ、怖さ、軽さ、安心感には、本人にしか分からない部分があります。その感覚を大切にしながら、必要なら外から分かることも一つ添えてみます。
腕を上げた位置と壁の目印を比べる。人に動きを見てもらう。短い動画や簡単な数値を使う。いくつも測ろうとせず、一つあれば十分です。
自分では動かしやすく感じても、見た目の動く範囲は同じかもしれません。反対に、感じ方は変わらなくても、動く範囲に違いが見えることもあります。
そういうときは、感じたことと見えたことを両方残します。「何は同じで、何が違ったのか」が分かると、次にどこを見ればよいかも考えやすくなります。
「硬い」の中身を一つ知る
「身体が硬い」と感じたら、どこで、どんな感じがしたのかを一つ拾ってみてください。
「腕が上がらない」と思っていたところに、「肩の高さを越えると止めたくなる」という具体的な感じが見つかるかもしれません。何かを試して変化を比べる前に、まずは今の身体を知る。今回は、そこまでで十分です。